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2017年2月

2017年2月15日

3.    所得税 外貨建預金に関連する為替差損益の税務(1)

昨今の国内のマイナス金利政策の影響もあり、利率の良い外貨預金を行う人たちが増えています。そこで今回は外貨建預金の取引に関係して発生する課税関係について幾つかの事例を紹介したいと思います。

 

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保有する外国通貨を他の外国通貨に交換した場合の為替差損益の取扱い

【照会要旨】

100万円の現金を米ドル(1万ドル)に交換し、その後、この米ドル(1万ドル)を他の外国通貨(8,000ユーロ)に交換した場合、ユーロへの交換時に為替差損益を所得として認識する必要はありますか。

 

  •    米ドルへの交換時のレート・・・1ドル=100円
  •    ユーロへの交換時のレート・・・1ユーロ=150円


【回答要旨】

為替差益を所得として認識する必要があります。
為替差損益は、一般的には異なる通貨の交換(往復)により発生するものですが、照会のように、円から米ドルに交換し、これをユーロ等他の外国通貨に交換した場合であっても、その外国通貨への交換時に、当該外国通貨(ユーロ)の額をその交換時の為替レートにより円換算した金額と当初の円から米ドルへの交換時の為替レートにより円換算した金額との差額(為替差損益)が所得税法第36条《収入金額》の収入すべき金額として実現したと考えられますので、これを所得として認識する必要があります。

 

  • 為替差益・・・(150円×8,000ユーロ)-100万円=20万円

(注)外貨建預貯金の元本及び利子をあらかじめ約定した率により他の外国通貨で支払われる場合の元本部分に係る差益については、外国通貨を円に交換(往復)する取引ではないものの、その支払時において課税(収入すべき金額として認識)することとされており(所得税法第174条第7号、第209条の2、所得税法施行令第298条第4項第2号)、為替差損益を所得として認識するかどうかは、異なる通貨の交換(往復)に限られるものではありません。

 

【関係法令通達】

所得税法第36条、第174条第7号、第209条の2、所得税法施行令第298条
出所:国税庁タックスアンサーより

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外貨・円の交換だけでなく、異なる外貨・外貨間の交換に際しても為替の評価差額については課税所得に含める必要があるということになります。同一通貨間の預け入れ・引き出しの場合の取り扱いとの相違も含め、ご留意頂きたいと思います。