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2020年8月

2020年8月17日

26.  Uberと税金の問題

コロナの影響が大きいと思われますが、最近Uberのリュックサックを背負い自転車に乗る若者を多く見かけるようになりました。スマホから注文できる便利な宅配サービスで、ファストフードから高級レストラン、更にはコンビニまで様々な商品を注文することができます。
また、昨今の働き方改革等の影響もあり、副業として配達員の仕事を行うような人もいるのかもしれません。

Uberの事業モデルは、配達パートナーとして同社と業務委託契約し、一種の個人事業主として報酬を得るというものです。そのため宅配ピザの配達員のように社員(アルバイト)という形とは異なります。つまりUberが顧客から注文を受け、配達業務をパートナーである個人が請け負い、Uberから配達業務報酬が支払われる仕組みとなっています。

このようなUberの事業モデルに関しては、現在英国等の海外で税金の問題が発生しています。

一つ目は、配達パートナーは、個人事業主なのか、或いはUberの社員なのか、という問題です。

日本でもUberの配達パートナーが交通事故等に遭った際の補償問題がネット等で指摘されています。同社のロゴの入ったリュックサックを背負って宅配業務を行うスタッフと宅配ピザの配達員とで実質的に何が違うのかという話ですが、税金上は個人事業主と従業員とでは所得税(特に源泉所得税)の取り扱いで大きな差が出てくることになります。

二つ目は、消費税の問題です。

仮にUberの配達パートナーが実質的に同社の従業員である場合、パートナーに支払う委託料は不課税である人件費として処理されることになります。一方、業務委託の場合には、パートナーが免税事業者か否かという問題もありますが基本的には課税仕入として処理することが可能となります。そのため配達パートナーが個人事業主か従業員かという違いはUber社の消費税負担に大きな影響を及ぼすことになるかと思われます。

Uberをはじめとするシェアリング・エコノミーは今後大きな成長が期待される領域ですが、現在の税制では依然としてグレーゾーンが残っている状況ではないかと思われます。今後ビジネスの拡大と併せ事業にマッチした税制の整備が期待されるところです。