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2019年5月

2019年5月8日

23.  非永住者の確定申告

今年の確定申告で、非永住者の確定申告書の作成を行ったが、非永住者の課税所得の範囲については独特なルールがあり、日本国内源泉所得のほか、国外源泉所得のうち、国外から日本へ送金された部分も課税対象となる。

理論的には日本での勤務に伴う対価であれば、仮に国外で支払われた場合であっても国内所得として計算を行う事になる。一方で、例えば外国人駐在員等の場合、出向元である外国企業における任務に基づく対価であれば、日本法人での業務対価とは別に国外源泉所得として計算を行う余地が生じる。

仮に立場が逆のケース(日本本社から国外子会社への出向者)であれば、このような国外出向者に対する日本国内での給与は、日本側で損金処理することは難しい(外国子会社への寄付金リスクが生じる)。しかし、諸外国では簡易課税制度を適用する事業者には売上高を基準に課税を行うような税制を採用する国も少なくない。そのため日本への駐在員の給与に関して、日本法人に負担させないような場合には、どの範囲が日本国内源泉所得となる給与部分であるかの判定が実務上難しいケースが出てくる。日本での生活資金のため国外から送金してくれば事実確認が比較的容易であるが、実体ベースとなると最後は納税者の自己申告という話になってくる。このようなグレーゾーンを今後CRSが解決してくれるのかもしれない。