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2017年4月

2017年4月3日

6.  所得税 海外出向期間中に不動産を売却した際の税金

現在首都圏を中心に不動産のミニバブルが起こっていますが、2020年の東京オリンピック開催を前に高値で売却したいと考えている海外駐在員もいるのではないかと思います。そこで今回は海外出向中に日本の不動産を売却した際の日本における税金について紹介します。

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日本の法人の海外支店などに1年以上の予定で勤務する給与所得者は、一般的には、日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
非居住者は、その所得のうち日本の国内で発生した国内源泉所得についてのみ日本の所得税が課税されることから、非居住者が日本国内にある不動産を売却したときの所得に対しては、日本で所得税が課税されることとなります。
この所得は譲渡所得とされ、原則として確定申告が必要です。
なお、この場合、譲渡所得の金額の計算方法は、居住者の場合と同様です。
確定申告期限は、翌年2月16日から3月15日までですが、確定申告書を提出するときまでにあらかじめ納税管理人を定め、「所得税の納税管理人の届出書」を非居住者の納税地を所轄する税務署長に提出しなければなりません。(納税手続の詳しい説明は、コード1926をご覧ください。)
この届出書を提出した以後、税務署が発送する書類は納税管理人宛てに送付されますが、確定申告は非居住者の納税地を所轄する税務署長に対して行います。
なお、納税管理人は法人でも個人でも構いません。

 

【関係法令通達】

(所法2、5、7、15、120、161、164~166、所令15、通法117)

出所:国税庁タックスアンサーより


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不動産の売却に伴う所得は日本で課税されますが、更に出向先の海外においても居住者として全世界所得に対して申告を行う必要があります。そのため出向先の国で日本で支払った源泉税に対する外国税額控除(或いは外国所得控除)を適用する必要があります。外国税額控除の適用については、国によっては手続が煩雑であったり、事実上認められていない国もあるようで、実際にはなかなか簡単ではないようです。非居住者として源泉税率も高いですので、二重課税にならないよう注意が必要です。