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2017年10月

2017年10月16日

14. 条約相手先である新興国等の現地法令で課税された場合の処理方法は?

先日、上記見出しの某専門誌の特集記事を読みました。

本来であれば租税条約の規定により、現地国での課税が免除されるべき取引にも関わらず、現地国の税務当局が国内法を優先適用し(或いは租税条約の存在そのものを知らず)、現地国で課税を受けてしまった、という類の話は実務では新興国を中心に結構耳にします。

この場合、仮に現地国で課税されたとしても、日本側で外国税額控除を取ることができれば少々手間はかかりますが、結果的に二重課税は発生しませんので大きな問題とはなりません。

しかし、日本側での外国税額控除の適用に際しては一定の要件があります。例えば日本で十分な課税所得が出ている必要があります。更に、外国税額控除の対象となる「外国税額」について、今回のような本来は払うべき必要のない取引が現地国の税務当局の一方的な見解により課税となったような場合には、日本側では外国税額として認められない可能性もあります。このような場合には、結果的に二重課税が発生することになります。

本件に対する対応策としては、現地国側では不当な課税に対しては、税務当局に対する訴訟によって租税条約の適用を勝ち取るという方法も考えられます。税務当局への訴訟は日本ではあまり考えられない話ですが、国によっては一般的な手法である場合もあります。実際には当該現地国の商慣習や訴訟費用を踏まえたうえで検討が必要であることは言うまでもありません。

日本企業の海外展開が進むにつれて、今後更に日本本社側での外国税額控除の適用頻度は高くなっていく事が予想されます。外国税額控除は日本での税額が直接的に減額される処理(所得控除ではなく税額控除)ですので、日本と外国の両税務当局間での税金の取り合いという要素を持っています。その点からも今後日本の税務当局としても外国税額控除の適用要件を厳しくチェックしてくることが予想されますので、企業サイドでも十分な注意が必要ではないかと思います。