国際税務ブログ アーカイブ

2018年1月

2018年1月10日

16.  ビットコインに関わる税金

2017年も終わり、いよいよ確定申告の季節に入りました。今回は確定申告にちなんで、昨今トピックとなっているビットコインに関する課税についてコメントしたいと思います。

国税庁タックスアンサーにも記載のあるとおり、ビットコインを利用することで生じた利益は、個人所得税上は原則として雑所得として扱われます。また、「原則として」と記載したのは、場合によって事業所得として扱われる可能性もゼロではないためです。

同じく雑所得として処理されるものに外貨の為替差損益がありますが、こちらは外貨の利用に関係なく発生しますが、ビットコインの場合には、あくまで利用(売却やビットコインを対価として何かを購入したような場合)した時点で課税が生じる点で異なります。つまりビットコインの含み益に対しては課税されないということです。

タックスアンサーでは、「事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合」についてはビットコインの利用により生じた利益は事業所得となり得るような含みを残した記載となっています。但し、雑所得と事業所得の具体的な線引きについては、実務上は依然として不明確となっているのが現状です。

個人所得税の計算上、事業所得となるか雑所得となるかは大きな違いがあります。金融資産に関する雑所得は相殺・損失の繰越や所得控除の制度が少ないため一般的には節税の余地が少ない所得と言えます。

当事務所にも個人投資家の方から「ビットコインが予想以上に値上がりしており何か良い節税策はないか」といった相談を受ける機会が増えてきました。ただ、このような相談を受けるのはビットコイン購入後、値上がりしてしまった後のケースのため、事後的に打てる対策は非常に限られてしまいます。もともと興味半分でビットコインを購入してみた、というのが現状かと思いますが、本来であれば事前に節税可能な投資スキームを検討したうえで投資をして頂くのが一番望ましいケースかと思います。

ビットコインは投機性の高い金融商品ですので、節税策に迷っているうちに含み損が出てしまうような事態にならないよう、多少税金を支払ってでも利益確定しておくというもの無難な選択肢なのかもしれません。