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2017年1月

2017年1月31日

2.    所得税 日本の居住者が海外の不動産を売却した場合の課税関係

昨今、個人の富裕層を中心に海外不動産投資が人気となっています。日本よりも高利回りであることや国によっては早期の減価償却による節税メリットも人気の理由のようです。
そこで今回は日本の居住者が海外の不動産を売却した場合の課税関係や税務上の適用外国為替レートについて紹介したいと思います。

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日本の居住者は、原則として国内で生じた所得及び国外で生じた所得のいずれについても、日本で課税されることとなります。
したがって、日本の居住者が海外の不動産を売却したことにより得た譲渡益に対しても、国内にある不動産を売却した場合と同様に、課税されることとなります。
この場合、外国通貨で行われた不動産の譲渡所得の金額及び不動産を取得した際の取得価額の金額は、原則として、その取引日における対顧客直物電信売相場(T.T.S)と対顧客直物電信買相場(T.T.B)の仲値(T.T.M)によることとされています。
ただし、不動産を売却して外国通貨を直ちに本邦通貨とした場合には対顧客直物電信買相場(T.T.B)で、本邦通貨を外国通貨として直ちに海外不動産を取得した場合には対顧客直物電信売相場(T.T.S)で譲渡所得を計算することができます。


(注) 「居住者」とは、日本国内に住所を持っているか、又は現在まで引き続いて1年以上居所を持っている人をいいます。


出所:国税庁タックスアンサーより

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実際には日本での課税以外にも不動産所在国で源泉所得税の課税を受けることが多いため、二重課税を防止するため日本での確定申告時に外国税額控除を適用するケースが多いかと思われます。また適用為替レートについても、売却時の資金を外貨のまま保管する場合と即座に円換算する場合とで適用レートに差が出る場合があるため注意が必要です。