国際税務ブログ アーカイブ

2018年12月

2018年12月10日

22.  消費税の不正取引を巡る問題


先日、新聞記事を読んでいたところ、金塊を巡る消費税の不正取引が話題となっていた。
消費税の無い香港等から金塊を不正に持ち込み、日本で転売の後、日本の商社が国外へ輸出することで、結果的に多額の消費税が不正に還付されているという内容であった。
今後消費税率が10%に上がることを踏まえると、更に消費税を巡る不正取引が増加していくのではないかと懸念される。
消費税と同じような税目である付加価値税(VAT)を早くから導入している欧州でも実は古くからVAT不正取引が広く行われていたという歴史がある。多数の国で構成されているEUでは国境を越えた取引が頻繁に行われる結果、不正な輸出を通じた還付により多額の損失が発生し、現在も主要な課題となっている。
EUの事例を見る限り、消費税不正を防止する有力な手段は電子申告の義務化ということになるのではないかと思われる。一連の連鎖取引の中で、取引当事者が適切に消費税を納付しているか、膨大なデータを確認していくのは人間の手では到底不可能であろう。その意味では、電子申告が今後日本でどの程度浸透していくのかが重要な指標になるのではないかと個人的には考えている。